自然エネルギー技術開発
名古屋大学環境学研究科の高野研究室では、民間企業による社会貢献活動として研究委託を受け、大学院生の研究課題としてピコ(超小型)水力発電の技術開発を行っています。具体的には、写真にあるような小さならせん水車の開発です。この水車は富山県で100年ほど前に発明され、地元の鉄工所で製作されていました。長い軸にらせんのねじのような羽根が巻きついた水車で、水路に設置します。昭和初期には富山平野を中心に1万機が普及していたと言います。脱穀機やわら打ち機の動力源として使用されていました。
農山村に豊富に流れている水を利用した、小さな水力発電を試行するため、実際に水車を製作して設置するプロジェクトを開始しました。岐阜県揖斐川町坂内諸家の農業用水路を活用して、地域のNPOと共同で実施しました。水車は幅40センチ、深さ40センチのU字溝の用水路にはめこめる形です。水車の軸からチェーンとベルトで動力を取り出し、回転数を早めて小さな発電機を動かします。大学院生が水車の基本設計を担当しました。実証実験の結果、水車は確かに発電し、発光ダイオード(LED)のランプをつなぐと点灯しました。水車発電機の出力はわずかに30ワットですが、この電力を利用して、水車の隣にある古民家で小型冷蔵庫、洗濯機、ノートパソコン、モデム、そして9部屋分のLED照明器具が利用できることがわかりました。