生態系回復プロジェクト支援 -ブラザーの森-
ブラザーの森 郡上 生態系回復プロジェクトとは
ブラザー工業株式会社はCRS(起業の社会的責任)事業として、2008年から岐阜県郡上市白鳥地区にあるスキー場跡地で社員ボランティアによる植樹活動を行っています。しかし、苗木が順調に育っているわけではないということが観察され、今後どのように植樹活動を進めたら良いか学術的な観点からアドバイスが欲しい、ということで臨床環境学コンサルティングファームが支援しました。
コンサルティングファームによる支援活動
コンサルティングファームでは、森林、動物、植物の生態学の専門家らとともにチームを結成し、植樹した苗1本1本に番号タグを取り付け、苗の太さと樹高を計測する追跡調査を始めました。また、季節ごとにどのような昆虫と植物が生育しているか、生物多様性の観点からの調査を始めました。
調査の結果わかったこと
2年間の調査の結果として、植栽された樹木の活着・生存率は40%程度で高くなく、その原因として冬の雪害と夏の雑草による被圧の影響が考えられました。希少なギフチョウをはじめとする多様なチョウが生息すること、また草原性、湿地性の多様な草木が存在することが明らかになりました。特に2016年5月にはギフチョウが「乱舞する」と表現できるほどたくさん観察されました。
このように、植樹は必ずしも成功していないものの、その一方で草原的あるいは湿地的な環境が維持され、生物多様性に優れる生態系が実現していたということです。今後は樹林ゾーンには植樹する樹種や植栽方法を工夫した捕植を行い、草原ゾーン・湿地ゾーンでは草刈りを継続して草原的な環境を維持することで、全体としてさらに多様な生態系を実現するという明確なビジョンを持って活動を維持することになりました。