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交通・都市国際研究部門

電気自動車? 燃料電池車? 新しいエコカーを求めて (1)

hibino_1_0.png研究担当者: 日比野 高士 教授hibino_0.jpg
長尾 征洋 助教
小林 和代 研究補助員


 燃料電池のバッテリー化によって、水素インフラがもはや不要に!? 

燃料電池車は究極のエコカーとして国内で販売されましたが、
その普及のカギとなるのが水素製造、運搬、貯蔵、さらにはステーション建設等のインフラ整備です。
これに対して、電気自動車はすでにインフラが完備されており、
しかも電気代はガソリン代に比べ最大1/5倍安くなります。
ただし、リチウムイオンバッテリーの低エネルギー密度が原因で、
フル充電一回当たりの航続距離は200km程度しか伸びません。
この課題を克服するため、新型蓄電デバイスの開発が盛んに行われていますが、
その中でもリチウム-空気電池は正極の活物質が空気中の酸素であるため
理論エネルギー密度11 680 Wh/kgに達すると言われ、注目されています(実際には1700Wh/kg)。
しかし、リチウム-空気電池は1mAレベルの小さな電流でしか安定に充放電できず、
十分なパワー密度を稼げられない欠点を持っています。


 水素を化学的に貯蔵・放出する電極設計 

hibino_1_2.png充放電が可能な燃料電池はRechargeable Fuel Cell (RFC)として呼ばれ、セル部と水素貯蔵部が分離した構造を持ち、1000 Wh/kg級の大型電源として開発されてきました。
これに対して、我々はセルの電極自体が水素貯蔵媒体を兼用する数100 Wh/kg級の一体型電源としてRFCの再設計を試みました(図)。
この電源開発のキーとなる技術は水素を燃料電池作動条件(RT-80℃)で貯蔵・放出でき、且つそれらの過程で余分なエネルギーを必要としない点ですが、従来の水素貯蔵媒体ではそのような要求を満たしていませんでした。

今回、研究グループでは、この課題を打開するための手段として、ポーラスカーボン電極表面にカルボニル基等を高密度で官能基化し、それらの可逆的なRedox特性を水素の吸脱着に活用することを考案しました。

市販のカーボン紛体を室温から50℃で硝酸により酸処理するとカーボンが次第に酸化され、
酸化後のカーボン表面には期待通りの官能基が成長したことを確認しました。
次に、このように官能基化したカーボンを負極に用いてRFCを構成したところ、
カーボン表面上の官能基量とともにエネルギー・パワー密度が増加し、最大107Wh/kg、2304W/kgに達しました。
最も高い性能を示したカーボン負極を用いてサイクル試験(0-1V、 40 mA/cm2、 50°C)を行った結果、
300サイクル後の容量維持率はほぼ100%でありました。

【効果】

本燃料電池はリチウム-空気電池の負極を水素で置き換えた蓄電デバイスであり、
最大の特長は燃料電池並みの大電流(最大100mA/cm2)で充放電できることです。

【今後の展開】

過度に酸化したカーボンでは電気容量の著しい低下が観察され、
酸化による性能向上には限界があることが判明しました。
これは①カーボン表面の導電性が低下し、大きな電気抵抗をもたらした、
②カーボンのマイクロポア容積が減少し、電極反応における物質移動が遅くなったことが原因でした。
今後、これらの改善に努め、より大きなエネルギー・パワー密度を実現していきます。


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化学は過去に公害の元凶とみなされ,また石油に強く依存した分野でした.
しかし,最近ではグリーンケミストリーとして
持続可能な社会の実現に不可欠な技術を絶えず供給し進化しています.

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