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統合環境学特別コース

2025年03月10日 2024年度伊勢湾流域圏ORT報告会を鳥羽市で開催しました

 「臨床環境学研修(ORT:On-site Research Training)」の報告会が、2025 年2月17日(月)に三重県鳥羽市の本庁舎で開催されました。2024 年度は博士後期課程の学生3名が鳥羽市をフィールドとして持続可能性に関わる課題を発見し、現状把握と解決方法の提案を行いました。
 報告会では、学生3名が「鳥羽市リサイクルパークを中心とした地域内資源循環システムの可能性」と題して研究成果の報告を行いました。鳥羽市リサイクルパークで生産された生ごみ堆肥をクロノリの品質低下問題の解決への活用可能性を中心に、「鳥羽市における生ごみ堆肥化事業自体の現状と課題」、「生ごみ堆肥と鶏糞肥料に含まれる栄養塩の比較調査」及び「生ごみ堆肥のノリ養殖への活用における資源循環フローの検討及び受容性の調査」、という三つのパートに分けてそれぞれ調査し分析を行いました。その分析結果を踏まえてこれまで取り組んできた人々の支援と新たな取り組み参加者の獲得や生ごみ堆肥を用いて生産した食品に対する消費者の受容性向上などについて提案しました。

 ポスターセッションでは、鳥羽市長・中村欣一郎氏をはじめとする鳥羽市役所職員やヒアリング調査等にご協力いただいた鳥羽市リサイクルパークの関係者等の20 名程度が参加し、学生と活発な議論が行われました。そして意見交換会では、「生ゴミからノリへ!?鳥羽ならではの資源循環を考えよう」について議論が行われました。また、資源循環以外にも、堆肥化の取り組みを通じて地域住民のつながり形成や、サステナブルツーリズムへの発展などの可能性も見えてきました。
 今年度は、異分野の学生が協働して課題にあたることで、共通の研究目標を達成するために、それぞれ部分的に分析を担当し、最後に成果を取りまとめて処方箋まで提案し、超学際的な研修となりました。

報告テーマ:「生ゴミからノリへ!?鳥羽ならではの資源循環を考えよう」

              博士課程学生:岩月健吾、落合真由、三輪晃司

     

4.ORT報告会集合写真-トリミング.JPG

    

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パネルディスカッション.JPEG

 

  

 

 

参加者に囲まれて.JPEG発表している学生3人.JPEG

  

  

   

 

「受講生の声」

大学院博士後期課程の入学書類の中に「統合環境学特別コース」のチラシがあり、興味を持ったのですが、なんだか大変そうで、そのときは勇気が出ず、3年生になったタイミングで受講しました。同じ環境学研究科に所属していても、他専攻・他研究室の学生・先生方と交流する機会はあまりなかったので、基礎環境学講究と臨床環境学研修を通してさまざまな分野の知見・考え方に触れることができ、とても刺激的でした。普段自身が勉強している内容とは異なるテーマについて、他専攻の学生と共同研究することはとても難しく感じましたが、学ぶことが多く、自身の研究で活かせそうなスキルも身に付きました。また、研究成果をお世話になった三重県鳥羽市の皆様の前で発表し、フィードバックをいただくという、なかなか得られない経験をすることもできました。鳥羽市の皆様、コース担当の先生方、共発展センターの職員の皆様、共に研究した学生の皆様には、大変お世話になりました。本当にありがとうございました。

私は社会人学生ということもあり、時間制約がある中で質の良い学びを得たいという想いが強く、様々な博士後期課程向けプログラムがある中で統合環境学特別コースを選びました。鳥羽市でフィールドワークを行い、自分たちで問題マップを作って可視化し、研究内容を一から構築していく「臨床環境学」と、それを行うための基礎知識を身に着ける「基礎環境学」の2本の梁を持つ本コースは、とてもよく出来たプログラムだと思いました。正直、単位数だけを見ると割に合わないくらい大変な講義でしたが、先生方も熱心に細かくご指導をして下さいましたし、受講生3名の得意分野が異なるからこそ共創による知識融合と適切な分担により研究を進めることができましたと思います。そして何よりも、鳥羽市の皆様が今回の調査研究や実験に対して、とても協力的で温かいご支援をして下さったお陰で、(社会人経験が長い私から見ても)学生の域を超えた現場実践力を養うことができました。最後になりましたが、鳥羽に関係する皆様、担当教員の先生方、共発展センターの職員の皆様、共に研究した学生の皆様には、大変お世話になりました。本当にありがとうございました。

自分が普段専門にしている分野とは全く違う内容の調査・研究を行うことは非常に難しいことでしたが、そこに異分野の学生と協働して課題にあたることで、超学際的な研究を部分的にでも実践できたことは、今後の自分の糧になったと思います。また、普段の研究とは離れたところで、抱いた疑問を探求することの面白さを改めて実感することもでき、これからの研究のモチベーションにもなりました。最終報告会では、中村市長をはじめ鳥羽市の皆様に発表を聞いていただき、たくさんのご意見を頂戴するという得難い経験をさせていただきました。いただいたご意見をもとに、更に考察を深めていきたいと思います。ORT担当教員の先生方、鳥羽市の担当者の方々、調査にご協力くださった皆様、共発展センターの職員の皆様に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。