ホームセンターからのお知らせアンドレア・ボッコ先生(トリノ工科大学)との交流
トリノ工科大学建築学科建築技術専攻のアンドレア・ボッコ(Andrea Bocco)准教授が、小松准教授と高野教授との研究交流のために名古屋を訪問されました。トリノ・サンサルヴァリオ地区をボッコ先生自身が大学院生の頃から約20年をかけて取り組んできたコミュニティ・ベースの再生事業、特に「地区の家」(Casa del Quartiere)の開設によって再生事業が促進され、深化した点などについて小松准教授と既に研究交流が行われてきましたが、今回は日本学術振興会の研究費を得て、自然素材を活かしたローテク建築技術やそれによる建築や地域のサスティナビリティに関する調査研究のために来日され、3月から約40日間日本に滞在する中で本センターにも訪問されました。
3月11日(金)には本センターのコンサルティング・ファーム部門において2014年度にまちづくり構想策定(受託研究:大垣市)に取り組み、その後も支援を継続している大垣市上石津町牧田地区を小松准教授と訪問しました。特に、中山間地域における持続可能なまちづくりのために、約80年前に建設され、この30年近くは殆ど使われてこなかった木造の旧郵便局(大垣市景観遺産)について、地域の持続支援拠点として地域主導で整備しようとする構想について、地域および建物関係者とこれまでの経緯や成果、今後の展望について意見交換し、ボッコ先生からも数々の助言をいただきました。
3月12日(土)には名古屋市西区の那古野・四間道地区の伊藤家住宅(県指定有形文化財)において、「イタリア・トリノの地区再生まちづくり サン・サルヴァリオ地区の20 年と地区の家(Casa del Quartiere)」と題した講演会を開催しました(主催:小松研究室)。30名を超える地域および行政関係者、専門家が出席し、サン・サルヴァリオ地区の再生に向けた約20年の取り組みの成果と、旧公衆浴場を改修して開設された「地区の家」の役割と効果についての講演を、那古野・四間道地区の地域まちづくりの成果と課題、展望を重ね合わせながら聞いた後、意見交換を行いました。
また3月13日(日)には、豊田市旭地区を小松准教授と高野教授と訪問し、日本の里山の現状と課題に関する高野教授の説明の後、セルフ・ビルドで建設され、太陽光発電のみで生活を可能としたオフ・グリッド住宅を訪問し、都市部からの移住者である住人と日頃の生活の様子などについて情報交換を行いました。また、旭地区敷島地区の移住定住促進事業について、地域リーダーによる説明を通じて、その動機やこれまでの経緯、成果を共有しました。
日本とイタリアでは気候風土や社会制度、コミュニティの成り立ち、建築素材(例:木と石)は異なりますが、日伊の現状や課題、今後の可能性等の比較の中で、人口減少や生態系に係る問題、またコミュニティ・ベースで持続可能な地域づくりの方向性については共通点が多いことが確認され、現地の関係者を交えた有意義な交流の機会となりました。