名大共発展センター・ニュースレター
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イベント:
ブラザーの森郡上での植樹活動の支援を行いました
イベント:
「交通と福祉の連携シンポジウム」開催
イベント:
臨床環境学コンサルティングファーム説明・相談会 7月23日午前に開催
教育活動:
2024年度統合環境学特別コース修了証授与式を実施
教育活動:
2025年度臨床環境学プログラムが始まりました
社会と連携する私の研究・教育:
環境学研究科 社会環境学専攻 助教 紀平真理子
編集後記
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ブラザーの森郡上での植樹活動の支援を行いました


 ブラザー工業株式会社が2008年から郡上市白鳥地区のスキー場跡地で進めている植樹活動について、2014年から共発展センターが学術コンサルティングとして活動の支援を継続して行っています。2025年4月19日(土)に30回目となる記念の植樹活動が行われ、池田ブラザー工業社長と山川郡上市長による記念植樹も行われました。
 活動は植樹だけでなく、過去に植栽された苗木の生育調査も行われます。共発展センターの高野雅夫教授と生命農学研究科の中川弥智子准教授のグループがブラザー社員による植栽木の調査のサポートを行いました。昨年秋に植えられた苗木の樹高と地際直径を計測します。 参加者は苗木につけられた番号札を頼りに苗木を探し、最初は慣れない手つきで計測を行いました。次第に慣れてきてスムーズに調査が進みました。今年の冬は雪が多く、その影響で苗木が倒れていたり、折れたりしているものも多くありました。参加者はその様子に驚いていました。私たちは学術コンサルティングとして、これらの調査データをもとに、雪害に強い樹種や植樹方法を模索し提案していきます。

植栽木の生育調査の様子

植栽木の生育調査の様子

第30回記念植樹の記念写真

第30回記念植樹の記念写真

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「交通と福祉の連携シンポジウム」開催


 共発展センターの加藤博和教授が共同代表を務める「交通と福祉の融合に向けた検討会」が主催し当センターが共催する、第5回交通と福祉の連携シンポジウム「鳥の目・魚の目・虫の目・コウモリの目で『交通と福祉』の将来を考える」が2025年5月18日(日)に名古屋大学環境総合館で開催されました。参加者は会場が約80名、オンラインが約300名でした。
 「だれもが気兼ねなくおでかけできる社会づくり」はSDGsを構成する目標の1つとなっており、その実現のためには交通分野と福祉分野が連携して移動手段確保に取り組むことが必要です。しかし、日本では両分野の縦割りが根深いため取り組みが進まず、移動が十分にできない人が多くいます。その解決方策を考えることがこのシンポジウムの目的です。
 午前の第1部では上田紀行卓越教授(東海学園大学特命副学長)による記念講演「日本の文化的特徴、『生きること』から、日本のこれからの社会を語る」、加藤博和教授による基調講演「本当の意味で『だれもが気兼ねなくおでかけできる』地域にしていくこと」によって、交通と福祉の問題を俯瞰・詳細の両視点から語られました。午後の第2部では、おでかけ環境づくりに取り組む様々な分野のパネラー5名から事例報告の後、登壇者全員でディスカッションを行い、今後の「交通と福祉」のあり方について議論し、参加者も巻き込んで大変盛り上がりました。そして、「だれでも気兼ねなくおでかけできる社会づくり」のため連携・協働して取り組んでいくことを誓い、次回の開催を約束しました。

一宮市の誓約式にて中野正康市長(中央)と横山研究科長(左)、杉山事務局長(右)

登壇者のみなさん

 

詳細は、こちらのウェブサイトをご覧ください。
http://orient.genv.nagoya-u.ac.jp/kofuku5.htm

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臨床環境学コンサルティングファーム説明・相談会 7月23日午前に開催


 「人口減少地域を元気にするには?」「公共交通をどう維持する?」「生物多様性の大切さをどう伝える?」――地域の持続可能性に関するこうした問いに、環境学研究科附属持続的共発展教育研究センターでは“臨床環境学”という新たなアプローチで取り組んでいます。
 このアプローチの一環として、大学の専門知を活かした相談窓口「臨床環境学コンサルティングファーム」が活動しており、これまでに多様な地域と連携しながら課題解決に取り組んできました。
 このたび、2025年7月23日(水)午前に、名古屋大学東山キャンパス 環境総合館1階レクチャーホールにて説明・相談会を開催いたします。
 本説明・相談会では、名古屋大学の教員が、これまでの地域連携の経験や具体的な事例を紹介し、大学と地域がどのように協働できるのかをわかりやすくご説明します。地域づくりに関心のある自治体職員、NPO、企業、市民の皆さまのご参加をお待ちしております(入場無料・要申込)。詳細なプログラムは、近日共発展センターのウェブサイトにてご案内いたします。

詳細は、こちらのウェブサイトをご覧ください。
https://ercscd.env.nagoya-u.ac.jp/jpn/announcements/cat97/2025.html

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イベント

2024年度統合環境学特別コース修了証授与式を実施


 2025年3月26日(水)、2024年度統合環境学特別コース修了証授与式が行われました。環境学研究科社会環境学専攻の紀平真理子さんがコースを修了し、横山智環境学研究科長より修了証が授与されました。おめでとうございます。
 紀平さんは2025年4月1日(火)より環境学研究科社会環境学専攻の助教に着任されました。当センターの協力教員として臨床環境学プログラムをサポートしていただきます。これからのご活躍を期待しています。

修了生紀平真理子さん(中)と横山智環境学研究科長(左)、高野雅夫センター長(右)

修了生紀平真理子さん(中)と
横山智環境学研究科長(左)、高野雅夫センター長(右)

 

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2025年度臨床環境学プログラムが始まりました


 今年度から当センターでは、博士後期課程向けの授業として、統合環境学特別コースに代わり、臨床環境学プログラムを行うことになりました。このうち、「臨床環境学研修(ORT:On-site Research Training)」は引き続き実施しています。ORTでは、学生が地域の持続可能性に関わる問題を自ら発見し、現状の把握(診断)と解決方法の提案(処方)を行います。その過程で、通常の博士後期課程では得難い「俯瞰力」と「現場力」を養うことを目的としています。
 今年度は3名の学生が履修しており、例年以上に多様な顔ぶれです。研究科や専攻、学年、国籍が異なるほか、社会人もいます。ORTの特徴は、専門分野を含めバックグラウンドの異なる学生がチームを組んで取り組むことです。現場では分野にとらわれない多様で柔軟な姿勢が必要となるため、そのような協働を通して俯瞰力と現場力を高めていきます。
 今年度のフィールドは一宮市です。通常、ORTではまず対象地域の現地見学会を3日間泊まりがけで実施しますが、一宮市は近隣のため、2025年6月13日(金)、14日(土)、19日(木)に日帰りで行う予定です。教員でご興味のある方がいらっしゃいましたら、部分的にでも構いませんので、ぜひ参加していただければと思います。本授業を履修していない博士後期課程の方も、聴講という形で参加可能です。

名古屋大学  福本雅之  客員准教授よりリレーレクチャー

「臨床環境学プログラム」のチラシ

 

「臨床環境学プログラム」の詳細は、こちらのウェブサイトをご覧ください。
https://ercscd.env.nagoya-u.ac.jp/jpn/course/onsite/

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2024年度「臨床環境学コンサルティングファーム」の活動

環境学研究科 社会環境学専攻 助教 紀平真理子


紀平真理子 助教

 2025年4月に助教として環境政策論講座に着任しました。よろしくお願いします。私は、農業を中心とした一次産業における持続可能な移行に伴う複雑な問題について研究しています。オランダの修士課程で農村開発とコミュニケーションを専攻した後、環境学研究科では環境社会学を軸に研究を深め、人と自然の双方を視野に入れながら、脱炭素や物質循環などの大きな「物語」を見据えつつも、地域ごとの最適解を探ることの重要性を学びました。「開発」と「環境」という一見相反する概念も、「持続可能性」として捉え直すことで新たな視座を得ることができました。
 ただし、地域ごとの最適解を探る中で、「やっかいな問題」が立ちはだかります。「やっかいな問題」は、さまざまな人が関わり、互いに影響し合う複数の要因が複雑に絡み合った結果として出現する問題で、環境問題の多くも該当します。このような問題は単一の専門分野では解決できず、そもそも「問題は何か」という定義すら関係者の間でも一致しない状況が生じています。在学中に受講し、修了した統合環境学特別コースでは、愛知県東浦町をフィールドに調査・提案を行いましたが、実際に「やっかいな問題」に直面し、この研究領域により関心を持つようになりました。
 こうした問題に対して、私は自身の研究において音声映像メディアを使ったシミュレーションゲームや参加型アクションリサーチなどの方法論を用いて関係者の利害や複雑な問題認識を把握することなどに取り組んでいます。周縁化されがちな関係者の声も含めた「包摂的な現状認識」を可視化することで、関係者間の問題認識や解釈の違いを把握することが可能になり、協働の支援にもつながると考えています。
 今後もこれらの研究活動を通じて、さまざまな地域や分野における「やっかいな問題」と向き合いながら、持続可能な社会への移行に貢献したいと考えています。また、共発展センターの協力教員としても、社会課題の解決やそれを担う人材育成に寄与していきたいと思います。

名古屋大学  福本雅之  客員准教授よりリレーレクチャー

名古屋大学  福本雅之  客員准教授よりリレーレクチャー

いろいろなフィールドで聞き取り調査!

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編集後記

 本号では、共発展センター主催のイベントや教育研究など様々な報告記事を掲載しております。共発展センターの臨床環境学プログラムも始まりましたが、入学年度によって、統合環境学特別コースとして受講している学生もいます。
 また、7月23日に開催する臨床環境学コンサルティングファーム説明・相談会では、多様な分野の共発展センター関連教員が参加する予定です。多くの皆様のご参加をお待ちしています。共発展センターの活動を引き続きご支援頂きますようお願いいたします。

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名古屋大学

編集 共発展センター・ニュースレター 編集部

名古屋大学大学院環境学研究科附属持続的共発展教育研究センター 事務局
〒464-8601 名古屋市千種区不老町 名古屋大学環境総合館421号室
E-mail : cesfirm@ercscd.env.nagoya-u.ac.jp