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センターからのお知らせ

2021年08月27日 移住定住支援

エビデンスに基づいた移住定住の目標の設定

 松阪市においては、2014年から2018年度にかけて交流人口や、移住について地域で調査や、住民の学習会を開催してきました。2017、2018年度には、高野教授が、飯高地域で移住、定住についてワークショップを開催、課題を議論してきました。

 2010年から15年の趨勢が続くと飯高地域では人口減少が続き、具体的な対策を打たないままでは子供の数が早くにゼロになると人口シミュレーションからも明らかになりました。このような状況では土地利用の維持、地域産業の振興について展望が見えにくくなってしまいます。これに対して、別のシナリオから、人口全体が減少しながらも、子供の人数の減少を押しとどめる移住の水準を算出し、結果、子育て世代の移住者の受入れの方策を議論していく必要性が見出されました。

シミュレーションに動機づけられた移住定住の取組みの推進

 高野教授によれば、飯高地域の人口減少傾向が現状のままで続けば、小学生人口は2010年から2060年に120人近くから5人未満に、地域の人口は4300人から400人へと減少が予想されます。一方で、年間8世帯の移住を受入れた場合、2060年には小学生人口は約130人で推移、人口全体はゆるやかな減少から、約1500人になるだろうと見積もられています。

 シミュレーションの後押しもあり、松阪市は、2020年度にまつさか移住交流センターを立ち上げ、空き家の利用を促進する空き家バンク制度の活用を推進しています。結果、30代、40代の子育て世代が空き家バンクから契約、移住するケースも多くなりました。このような移住の推進の結果は、農林業、地域振興の今後について諦めなくてすむような明るい材料となっています。

住民主体の将来構想の必要性

 シミュレーションを含む学習会の実施、空き家バンク、移住交流センターの設置によって、松阪市では移住、定住を促進、地域振興・維持に欠かせない担い手の確保について明るい兆しが見えてきたと言えます。

 有効な政策、事業が明らかになる一方で、移住、定住の促進には、地域ぐるみで将来について話合い、考え、移住、定住に取組む必要があると高野教授は指摘しています。住民の自発的な議論、将来を見据えた計画づくりが、移住、定住を含む地域振興、維持には重要になります。

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耕作放棄された茶園