名古屋大学グローバルCOEプログラム 地球学から基礎・臨床環境学への展開

BCES

拠点概要

人間活動の影響による地球生命圏の変調を人体の病変に擬えてみると、環境学は病気に立ち向かう医学に相当するのではないでしょうか。しかし、これまでの環境学では、地球生命圏の仕組みやその人間社会との関係を解析する診断型分野(地球科学、生態学、地理学等)と環境問題の技術的・制度的対策を考案する治療型分野(工学・農学・社会科学等)が互いにほとんど独立に進められてきました。その結果、問題の現場において両分野が協力して診療に当たる、臨床医学に相当する体系的取り組みが欠如していたと言えます。

そこで本拠点では、国内外の様々な地域で、人間と自然の関係の持続可能性を脅かす病気の診断から、その適切な予防と治療、さらに治療の副作用の予測や防止に至る一連の実践的取り組みを、臨床環境学として体系化していきます。それとともに、臨床環境学を支える基盤として、地球生命圏における人間社会の持続可能性を蝕む病理を総合的に考察し、それに対する技術的・制度的アプローチの有効性・問題点を整理して、普遍的・地球的な視座を提供するために基礎環境学を構築します。臨床環境学と基礎環境学は、環境問題に立ち向かう上での車の両輪であると同時に、双方が、既存の環境学の諸分野を統合していく要となります。

本グローバルCOEプログラムの骨子は以下の通りです。

  1. 統合環境学特別コース:環境学研究科と生命農学研究科にまたがる統合環境学コースを設置し、臨床環境学研修と基礎環境学講究の両者を必修として、地域での実践力とグローバルな思考力を併せ持つ人材を育成します。
  2. 臨床環境学研修:国内外の特定の地域を対象に、多分野の院生と教員がチームを組み、その地域の自然と社会の持続可能性を脅かす問題を特定し、住民や行政とも連携して、解決策の探索やそれらの実施に伴う影響の予測を行うプログラム(On-site Research Training: ORT)を実施します。
  3. 基礎環境学講究:地域を超えて、グローバルな共通性・普遍性をもつ課題(地球温暖化や水資源問題など)を選定し、多分野の院生と教員がチームを作り、レビューと討論を通じて基礎環境学の体系を構築します。
  4. 横断研究プログラム:院生・若手研究者の発案による、他分野の学生・教員との連携研究に資金を競争的に配分し、プロジェクトリーダー育成を図ります。
  5. 国際連携プラットフォームの構築と強化名古屋大学国際環境人材育成プログラムを核として、アジア各国の大学・研究機関との協力ネットワークを強化し、ORTを国際展開して、基礎・臨床環境学教育を推進します。また、地球生命圏研究機構がコアとなり、国際的研究プログラムとの連携やリーダー的な海外研究者の招聘等を通じて、基礎・臨床環境学研究を推進します。
  6. キャリアパス支援:ORTなどを生かした多様な進路を開拓します。自立した経営体としてのコンサルティング・ファーム設立を目指します。
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