名古屋大学グローバルCOEプログラム 地球学から基礎・臨床環境学への展開

BCES

臨床環境学

伊勢湾流域圏

名古屋大学がある伊勢湾流域圏は、人口が集中する世界的な商工業地域、生産性の高い農業地帯、豊かな水を涵養する森林資源が、伊勢湾という半閉鎖系の海域を中心に、地理的にも、気象的にもひとまとまりとなったエリアです。

この流域圏が抱える環境問題には次のようなものがあります。

  1. 都市部:産業の発展と急激な人口集積に伴い、都市的被覆の無秩序な広がりによるヒートアイランド現象や都市型洪水の増加、無計画な開発による土地利用の混乱、中心市街地の衰退など様々な都市問題が発生しています。
  2. 中山間部:過疎化が進行し、農山村の限界集落化や山林管理の放棄による森林や農地の生態系の劣化などが課題となっています。
  3. 伊勢湾内:その半閉鎖的な性格から、都市の発達や農業生産力の向上に伴う陸域や海洋からの栄養塩の流入、干潟の減少や海底窪地の存在、人工的取水による河川流量の減少や流砂量の減少による海浜浸食によって、貧酸素塊、赤潮、青潮が発生し、生物多様性や生態系の持続可能性に深刻な影響を与えています。

つまり、伊勢湾流域圏は国土や河川・海洋の持続性にかかるあらゆる問題が縮図のように現れているきわめて特徴的な地域と言えるでしょう。

すでに、われわれは、環境学、生命農学、理学、工学、社会学などの立場から、気象、森林、都市・農村、海洋、河川などの領域において豊富な研究を蓄積しています。しかし、従来は診断型/治療型学問がそれぞれ狭い分野・視座で、課題毎に個別にアプローチを行ってきたため、流域圏の全体像の把握と環境問題への総合的な対応が困難でした。そこで、本フィールドにおいては、これらのグループが互いに連携して、診断/治療/影響評価を行う臨床環境学の構築に向けて体系的な取り組みを展開します。

具体的には、次のような課題について、院生・教員が、行政やNPO等と連携して研究を進めることを意図しています。

  1. 気象学、環境工学、環境政策学などを連携させたヒートアイランド現象の緩和、CO2排出量の削減、調和的な土地利用やランドスケープデザインの展開など、
  2. 生態学、経済学、都市計画学、林学などを連携させた都市と農山村の関係再構築、人工物と自然を連携させた環境整備や施策の理論構築、自然エネルギーや木質バイオマスの活用、有機農業の展開、里山から里海まで連携づけた生態系の持続性にかかる理論構築など

伊勢湾流域圏が、臨床環境学研究の典型例となるように研究を進めていく予定です。

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