名古屋大学グローバルCOEプログラム 地球学から基礎・臨床環境学への展開

BCES

国際会議

【主催】日中臨床環境学国際ワークショップ in 由布院
「成長」と「開発」のパラダイム転換:規制なき成長と「コントロールされた成長」そして「前向きの縮小」

スケジュール

2013年3月1日(金)~4日(月)
ゆふいん七色の風

詳細

主催: 名古屋大学グローバルCOEプログラム「地球学から基礎・臨床環境学への展開」

趣旨

名古屋大学グローバルCOEプログラム「地球学から基礎・臨床環境学への展開」では、博士課程学生に対するオンサイト・リサーチ・トレーニング(ORT)として、中国の海河流域(北京市および河北省)および、日本の由布院温泉におけるフィールド調査を行った。
由布院では、由布院温泉観光協会を中心に1980年代前半のバブル経済時代に計画された大型リゾート開発計画を阻止し、「癒しの里」としての温泉観光地づくりを行った。その結果、人々の支持を集めて来客数は激増し、日本有数の温泉観光地へと成長した。このプロセスは「コントロールされた成長」と言えるだろう。その後90年代に入り来客数の増加はストップしたものの、外部資本による宿泊施設の建設がすすみ、客室数は増加を続けた。そして2000年代に入り日本社会全体が人口減少段階に入ったことを受けて、宿泊客数が減少しはじめた。この状況に対し、まちづくりのコアメンバーたちが設定した目標は「前向きの縮小」である。静けさ、緑、ゆったり流れる時間、という価値を大事にして、ゆとりある接客によって心からのおもてなしを実現し、保養滞在型の温泉観光地をめざそうとしている。しかしその実現にはさまざまな課題がたちはだかっており、単なる縮小ではなく「前向きの」縮小が実現できるかどうかは、日本社会のフロントランナーとして大いに注目される。
 一方中国では、改革開放政策による経済発展が続いている。特に大都市から中小都市にいたるまで市街地の拡大が急速に進んでいる。それにともなって都市化に付随するさまざまな問題?大気汚染、農地減少、水不足、水質汚濁・汚染、交通渋滞、ゴミ問題、経済格差の拡大など?が顕在化している。また一人っ子政策によって人口ピラミッドは急速に少子高齢型に移行しつつあり、遠くない将来に超高齢化社会と人口減少段階がやってくるのは確実である。経済発展のまっただ中にある中国社会に求められているのは、「コントロールされた成長」であろう。どこをどうコントロールすることが必要なのか、また、そういう取り組みが社会的に受け入れられるためには、どのような価値観を人々の間で共有すればよいのか、ということを明らかにする必要がある。
私たちが構築しようとしている臨床環境学は、地域社会の持続可能性に関わる課題を抽出し(診断)、課題解決のための処方箋を提示する(治療)ことをめざしている。本ワークショップでは、仮説として、「コントロールされた成長」と「前向きの縮小」を実現するためには共通の価値観や方法論があるのではないかと考え、中国と日本の地域社会の事例に学びながら、この仮説の検討を行い、それぞれの地域における診断と処方箋の提示をすすめることを目的とする。

プログラム

3月2日(土)

13:00-13:10  開会あいさつ(林良嗣・名大)
13:10-13:20  問題提起(高野雅夫・名大)

セッション1「まちづくりに関するコントロールされた成長」Controlled growth in community development

13:20-13:50  事例報告 
             「上海市田子坊地区再開発にみるコントロールされた成長」(黒田由彦・名大、徐春陽・名城大学)
13:50-14:50  事例報告 
             「由布院温泉にみるコントロールされた成長と前向きな縮小という課題」(中谷健太郎氏、桑野和泉氏、高野雅夫 鼎談)

(14:50-15:00 休憩)

名古屋大学学生による由布院ORT成果報告

15:00-15:15  王昊凡
             「住民主体による『観光地』開発の管理とその持続可能性」
15:15-15:30  王倩  
             「Sustainable Developing Tourism of Yufuin」
15:30-15:45  高安栄
             「湯布院観光業と農業の現状と農業観光開発可能性の研究」
15:45-16:00  石橋康正
             「『地域のブランド化』と『対立的信頼関係』の醸成がもたらしたもの」

18:30-21:00総合討論

3月3日(日)

セッション2  「Paradigm change for human interaction with water and food」

09:00-09:15  問題提起(劉 晨・名大)
09:15-10:00  総合報告 
             「人と水相互関係の歴史的変遷および生態水環境」(劉昌明・中国科学院)
10:00-10:30  事例報告 
             「南水北調による華北平野の水収支変化の将来予測」(宋献方・中国科学院)
10:30-11:00  事例報告 
             「淮河流域における水環境問題の歴史的構造変遷」(楊麗虎・中国科学院)
11:00-11:15  事例報告 
             「ライフスタイルの変化が窒素循環と水環境に与える影響」(劉晨・名大)

名古屋大学学生による中国ORT成果報告

11:15-11:30  岡村鉄兵
            「中国の家庭における暖房利用の変化の調査と省エネ方法の検討」
11:30-11:45 梁涵? 
             「Quality of Life(QOL)Assessment :A case study of Beijing」
11:45-12:00 香取祥人
             「中国における食生活の変遷とゴミ問題」

セッション3  「中国の都市と地域の現在」

13:00-13:30  事例報告 
             「南京市の開発とその課題」(翟国方・南京大)
13:30-14:00  事例報告 
             「江南地域の農村開発とその課題」(張玉林・南京大)
14:00-14:30事例報告 
             「長春市におけるアーバンフリンジの空間変遷と治理ジレンマ」(田毅鵬・吉林大)

(14:30-14:40 休憩)

14:40-15:10  事例報告 
             「東豊県における開発と直面する環境問題」(単聯成・吉林大)
15:00-15:20  事例報告 
             「中国農村部におけるゴミ問題の診断と治療」(李全鵬・名大)
15:20-15:50  コメントと特別報告 
             「Paradigm change in development; Energy security, efficiency and sufficiency」ペーター・ハンス・デュール博士

15:50-16:10  報告 
             「中国都市化臨床環境学の構築をめざして」(林良嗣・名大)

16:10-16:30  総合討論

18:30-21:00 総合討論

参加者

中国側
劉昌明 中国科学院地理科学与資源研究所・教授・院士
宋献方 中国科学院地理科学与資源研究所・教授
楊麗虎 中国科学院地理科学与資源研究所・講師
張玉林 南京大学社会学院・教授
翟国方 南京大学・教授
田毅鵬 吉林大学哲学社会学院・教授
単聯成 吉林大学哲学社会学院・吉林省機構編制委員会主任

名古屋大学
教員・PD

林良嗣 環境学研究科・教授
黒田由彦 環境学研究科・教授
高野雅夫 環境学研究科・准教授
劉晨 環境学研究科・特任准教授
李全鵬 環境学研究科・COE研究員

学生(環境学研究科博士後期課程)
呉春涛
青山ちひろ
梁涵エイ
王倩
顧福妹
高安栄
石橋康正
岡村鉄兵
香取祥人
王昊凡
名城大学
徐春陽

コメンテーター
Dr.Peter Hans Durr

地元ゲスト
中谷健太郎氏
桑野和泉氏

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