名古屋大学グローバルCOEプログラム 地球学から基礎・臨床環境学への展開

BCES

国内会議

【共催】シンポジウム
考古学における年代決定と気候変動研究の新展開
-木材年輪試料の活用を中心として-

スケジュール

2011年9月10日(土)10:00-16:00
環境総合館1階 レクチャーホール

問い合わせ

発起人(連絡先):
名古屋大学環境学研究科 中塚 武(
愛知県埋蔵文化財センター 赤塚次郎(
国立歴史民俗博物館 坂本 稔(

詳細

ご存知のように日本では、奈良文化財研究所の光谷拓実博士の先駆的な取り組みにより年輪年代法が確立したお陰で、埋蔵文化財の年代決定に関する多くの新しい発見がもたらされてきました。この研究は更に今日、様々な新しい年代決定法の開発に波及効果をもたらしつつあります。1つは、年輪年代法を用いて暦年代を決定された木材試料の放射性炭素(14C)の測定により、14Cの較正曲線が正確に決定され、世界標準とされてきたIntCalに並ぶ日本独自のJ-Calの作成・利用の必要性が認識されるようになったことです。これを用いて、土器付着炭化物などの正確な年代決定や、従来の年輪年代法で年代決定できなかった試料の14Cウイグルマッチ法による年代決定などが可能になってきました。もう1つは、同じく暦年代を正確に決定された木材試料の年輪セルロースの酸素同位体比(δ18O)を測定することにより、本州中部におけるδ18Oの標準変化曲線が作成され始めたことです。日本では年輪のδ18Oの変動に、樹種の違いに拠らず高い広域相関性があるため、この標準曲線と対比することにより、従来の年輪幅に基づく年輪年代法では年代決定に至らなかった試料、特に広葉樹や年輪数の少ない木材試料についても、年単位での年代決定の展望が開けてきました。合わせて極めて重要なことは、それぞれの年代決定法の元となっている「年輪幅、14C濃度、δ18O値など」が、全て気候変動に関連した鋭敏かつ独自の指標となっており、今後の詳細な解析によって、さまざまな新しい発見の可能性を秘めていることです。

このように、近年の測定技術の進歩(微量木材試料の14C、18Oの測定法)が、従来の年輪幅に基づく年輪年代法と結びついたことで、全く新しい研究の展望が開けてきています。この研究を進めていくためには、考古学・古環境学や関連分野の多くの研究者の皆さまの協力が不可欠です。14Cや18Oによる新しい年輪年代法の基礎となる較正曲線や標準変化曲線の拡充のためには、まず、様々な地域の考古学調査で得られる多くの埋没木材試料を提供して頂く必要がありますし、逆に、それらの考古学的利用を進めていくためには、その方法の利点・特性について、多くの考古学関係者にご理解いただく必要があります。気候変動研究との関係では、現在の気候・環境を研究している気候学や樹木生理・生態学の関係者を含む、様々な分野の皆さまに、共同研究の輪に入ってきて頂く必要があります。

是非とも、この新しい研究の趣旨をご理解いただき、皆さまのご協力を賜りたく、今回のシンポジウム「考古学における年代決定と気候変動研究の新展開 -木材年輪試料の活用を中心として-」を企画いたしました。多くの皆さまのシンポジウムへのご参加を期待しています。このシンポジウムをきっかけに、そうした研究の輪が広がり、多様な研究が育っていくことを願っております。

プログラム

10:00-10:20 中塚 武(名古屋大学大学院環境学研究科)

シンポジウムの趣旨説明

10:20-11:00 光谷拓実(奈良文化財研究所)

日本における樹木年輪年代法の発展(仮題)

11:00-11:40 中村俊夫(名古屋大学年代測定総合研究センター)

樹木年輪を用いた放射性炭素年代の暦年較正の諸問題

<昼休み>

13:00-13:30 中塚 武(名古屋大学大学院環境学研究科)

酸素同位体比を用いた新しい年輪年代法の開発

13:30-14:00 坂本 稔(国立歴史民俗博物館)

紀元前後の東アジア産樹木年輪の示す炭素14年代の変動

<休憩>

14:15-14:45 赤塚次郎(愛知県埋蔵文化財センター)

弥生・古墳時代の環境変動の痕跡と集落遺跡

14:45-15:15 樋上 昇(愛知県埋蔵文化財センター)

出土木製品からみた弥生・古墳時代の森林利用

<休憩>

15:30-16:00 総合討論

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